にしもと内科・泌尿器科・人工透析内科

URETHRITIS & STI

尿道炎・性感染症の検査と治療

排尿時の痛み、尿道からの分泌物、性器のかゆみやただれ、感染への不安がある方へ。 性感染症は、感染していても症状が出ないことがあります。症状だけで判断せず、接触状況や時期に合った検査を受けることが大切です。

監修:西本 紘嗣郎(院長・日本泌尿器科学会 専門医・指導医)

2026年9月23日更新

排尿時にしみて困っているぴーちゃん

尿道炎

尿道炎とは

尿道炎は、尿の通り道である尿道に炎症が起きた状態です。次のような症状がみられます。

  • 排尿時に痛い、しみる
  • 尿道から透明・白色・黄色などの分泌物や膿が出る
  • 尿道の出口にかゆみや違和感がある

主な原因は、淋菌、クラミジア、マイコプラズマ・ジェニタリウム、トリコモナスなどです。感染以外の原因で炎症が起こることもあります。

痛みの強さや分泌物の見た目だけでは、原因となる病原体を区別できません。 淋菌感染症でも症状が乏しい場合があるため、検査で確認します。

当院で行う4種類の検査

原因によって治療薬が異なり、複数の病原体に同時に感染していることもあります。当院では、尿道炎と判断した患者さんには、原則として初診時から次の4種類を調べる方針です。

当院で行う4種類の検査
検査する病原体特徴
淋菌強い排尿痛や膿が出ることがありますが、症状が軽い場合もあります。
クラミジア症状が比較的軽く、感染に気づかないこともあります。
マイコプラズマ・ジェニタリウム尿道炎の原因の一つで、薬が効きにくく、症状が長引く場合があります。
トリコモナス原虫という微生物による感染症で、男性では症状が乏しいこともあります。

男性では主に初尿(排尿の最初の部分)を採取し、病原体の遺伝子を調べる「核酸増幅検査」を行います。外部の検査機関へ提出するため、結果は後日ご説明します。検査内容と保険適用については、診察時に確認します。

オーラルセックスなどによって、のどに感染することもあります。尿検査だけでは、のどの感染は分かりません。 接触状況に応じて、のどなど別の部位の検査や、梅毒・HIV・B型肝炎などの血液検査もご案内します。

感染から間もない時期には、検査で感染を捉えられないことがあります。心配な接触の時期をお伝えください。

原因に合わせた治療

検査結果と感染部位に応じて、飲み薬や注射で治療します。症状や診察所見によっては、結果を待たずに治療を始めることもあります。 以下は成人の代表的な処方例です。腎機能や妊娠の有無、アレルギーなどによって、薬や用量を変更します。

淋菌

当院ではロセフィン(一般名:セフトリアキソン)1gを1回、点滴静注します。尿道やのどの淋菌感染に対応する治療です。

クラミジア

ジスロマック錠250mg(一般名:アジスロマイシン水和物)4錠、合計1gを1回だけ内服します。感染部位や検査結果に応じて、別の薬を選ぶこともあります。

マイコプラズマ・ジェニタリウム

処方例は、グレースビット錠50mg(一般名:シタフロキサシン水和物)を1回2錠(100mg)、1日2回、7日間内服です。薬が効きにくい菌が多いため、検査結果やこれまでの治療経過に応じて薬を選びます。この菌に対する使用は添付文書上の適応外であり、必要性を判断してご説明します。

トリコモナス

フラジール内服錠250mg(一般名:メトロニダゾール)を1回1錠、1日2回、10日間内服します。

複数の病原体が見つかった場合には、それぞれに対応した治療が必要です。

症状が改善しても、感染が残っていることがあります。感染症の種類や感染部位に応じて、治療後の検査をご案内します。

パートナーの検査・治療

パートナーに症状がなくても、感染している可能性があります。ご本人だけが治療を受けると、再び感染することがあるため、診断された感染症に応じて、現在または最近のパートナーにも検査・治療をお勧めします。

男性パートナーは、当院で診察と必要な検査を行います。女性パートナーは、腟や子宮頸管の検査、子宮・卵管への炎症や妊娠への影響も考慮し、原則として産婦人科の受診をご案内します。

ご本人と必要なパートナーの治療が終わり、医師が再開してよいと判断するまでは、性的接触を控えてください。

梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌による感染症です。

初期には、性器・口・肛門などに痛みの少ないしこりやただれができたり、足の付け根のリンパ節が腫れたりします。その後、手のひらや足の裏を含む全身に発疹が出ることがあります。

症状が自然に消えても、治ったとは限りません。 症状がないまま進行することもあります。

妊娠中の梅毒は赤ちゃんに感染し、流産・死産や赤ちゃんの病気につながることがあります。妊娠中または妊娠の可能性がある方は、早めにかかりつけの産婦人科医にご相談ください。

梅毒の血液検査:TP抗体とRPR

梅毒は、採血で役割の異なる2種類の抗体を調べます。検査結果だけでなく、症状、感染が心配な接触の時期、過去の治療歴を合わせて判断します。

  • 梅毒トレポネーマ抗体(TP抗体):梅毒の原因菌である Treponema pallidum(TP)に対する抗体です。治療後も長期間陽性が続くことがあり、陽性というだけでは現在の感染や治療の必要性は判断できません。
  • RPR法で調べる非トレポネーマ脂質抗体:RPR(Rapid Plasma Reagin)は検査方法の名称です。梅毒以外でも陽性になることがありますが、定量値の変化は、病気の活動性や治療効果を判断する手がかりになります。

検査結果の見方

以下は「TP抗体/RPR」の順です。

梅毒
TP抗体RPR主な意味と対応
++現在の感染、または治療後に抗体が残っている状態が考えられます。定量値、症状、治療歴を確認します。
+-過去の感染・治療後のほか、感染初期や長期間経過した未治療の梅毒も考えられます。治療歴を確認し、必要に応じて追加検査を行います。
-+梅毒以外による陽性(生物学的偽陽性)が考えられます。ただし感染初期も否定できず、定量値や再検査で判断します。
--現時点では抗体が検出されていません。ただし、感染直後は両方陰性になることがあります。

陽性・陰性の組み合わせだけで、診断や治療の必要性を決めることはできません。

陽性の場合に確認すること

どちらかが陽性の場合は、RPRの定量値を確認し、必要に応じてTP抗体の定量や、別の方法による確認検査を行います。すでに定量値が報告されていれば、同じ検査を重複して追加する必要はありません。過去に治療を受けた方は、治療時期・薬・検査結果が分かる資料をお持ちください。

「RPRがいくつ以上なら梅毒確定」という、すべての方に共通する境界値はありません。 症状や治療歴と合わせて診断します。感染初期が疑われる場合や、症状と検査結果が一致しない場合は、必要に応じて2~4週間後に再検査します。症状がある方は、再検査の時期を待たずにご相談ください。

梅毒の治療

梅毒は、適切な抗菌薬で治療できる感染症です。症状や血液検査の結果、過去の治療歴、薬のアレルギーなどを確認し、治療方法を決めます。

基本となる治療:アモキシシリン(先発品:サワシリン)

処方例

ペニシリン系抗菌薬のアモキシシリンを使用します。成人の一般的な内服治療では、1回500mgを1日3回、28日間服用します。症状が改善しても、自己判断で服用を中断しないでください。

ペニシリンアレルギーがある場合:ミノサイクリン(先発品:ミノマイシン)

処方例

アレルギーの内容や体の状態を確認したうえで、ミノサイクリンによる治療を検討します。成人では、通常、1回100mgを1日2回、28日間服用します。

治療後も採血で確認します

治療前の定量値を記録し、治療開始後はおおむね4週間ごとを目安にRPRとTP抗体を確認します。主にRPRの低下と症状の改善から治療効果を判断し、経過が良好でも3か月後・6か月後などに再検査を行います。

RPR低下の目安は、自動化法では治療前値の1/2以下、倍数希釈法では1/4以下と、測定方法によって異なります。同じ測定方法で比較し、その後の再上昇がないかも確認します。低下の速さには個人差があり、治療後も抗体が陽性というだけで、治療失敗とは限りません。

HIV感染症

感染初期に、発熱、のどの痛み、発疹など、風邪に似た症状が出ることがあります。一方で、長い間症状が出ない場合もあり、症状だけでは感染の有無を判断できません。

血液検査で調べますが、感染から間もない時期には再検査が必要になることがあります。スクリーニング検査で陽性が疑われた場合は、確認検査を行います。

感染が確認された場合は、専門医療機関と連携し、抗HIV薬でウイルスの増殖を抑える治療を続けます。

B型肝炎

B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染し、性的接触でも感染します。症状がないこともありますが、倦怠感、食欲不振、吐き気、褐色の尿、皮膚や白目が黄色くなる黄疸などがみられる場合があります。

HBs抗原などの血液検査と肝機能検査で確認します。急性・慢性の状態や検査結果に応じて、経過観察や治療、専門医療機関への紹介を行います。

B型肝炎はワクチンで予防できます。接種についてもご相談ください。

B型・C型肝炎の検査と治療 →

性器・口唇ヘルペス

性器ヘルペスは、性器やその周囲に、痛みを伴う水ぶくれやただれができる病気です。排尿時の痛み、かゆみ、足の付け根のリンパ節の腫れを伴うこともあります。

口唇ヘルペスは、唇やその周囲に、ピリピリ・チクチクする感じやかゆみに続いて、水ぶくれやただれができる病気です。感染した人の唾液や口の周りの皮膚との接触を介し、性的接触以外でも感染します。

どちらも単純ヘルペスウイルスによって起こり、一度症状が治まっても再発する場合があります。

症状と患部の診察をもとに判断します。水ぶくれやただれから検体を採取する迅速検査(イムノクロマト法)が、診断の助けになることもあります。ただし、検査が陰性でも感染を否定できないため、症状や経過と合わせて判断します。

症状が出ているときの治療

飲み薬を中心に治療し、必要に応じて塗り薬を併用します。成人の一般的な処方例は次のとおりです。

バラシクロビル錠500mg(先発品:バルトレックス錠500)

1回1錠(500mg)、1日2回、5日間内服。

アラセナ-A軟膏3%(ビダラビン)

患部に適量を1日1~4回塗布。

初発型の性器ヘルペスでは、内服を10日間まで延長する場合があります。症状が改善しない場合や悪化する場合は、再診してください。腎機能などに応じて、薬の量や服用間隔を調整します。

再発を繰り返す方へ

再発の頻度や生活への影響、初期症状をご自身で判断できるかに応じて、性器ヘルペスでは「再発抑制療法」、口唇・性器ヘルペスでは「PIT」を検討します。

① 性器ヘルペスの再発抑制療法:毎日の服薬で再発を減らす治療

性器ヘルペスの再発が多い方(目安として年6回以上)を対象に、毎日お薬を服用して再発を減らします。免疫機能が正常な成人の一般的な処方例は、次のとおりです。

バラシクロビル錠500mg(先発品:バルトレックス錠500)|再発抑制療法

1回1錠(500mg)、1日1回、継続して内服。

定期的に経過を確認し、開始から1年後を目安に、治療を続ける必要があるか見直します。腎機能などに応じて、薬の量や服用間隔を調整します。

② PIT:再発の初期症状に気づいたら、ご自身で服薬を始める治療

PIT(Patient Initiated Therapy)は、あらかじめ処方されたお薬を手元に置き、再発の初期症状に気づいた時点で、ご自身で服用を始める方法です。口唇ヘルペス・性器ヘルペスのどちらの再発も対象です。

初期症状とは、水ぶくれやただれが現れる前の、ピリピリ・チクチクする感じ、ヒリヒリ感、かゆみなどです。同じような再発を繰り返し、こうした症状をご自身で判断できる方が対象になります。

成人で腎機能が正常な場合の服用方法は、次のとおりです。

ファムシクロビル錠250mg(先発品:ファムビル錠250mg)|PIT

  1. 初回:初期症状が出てから6時間以内に、1,000mg(250mg錠を4錠)を服用。
  2. 2回目:初回服用の12時間後に、1,000mg(250mg錠を4錠)を服用。

計2回、合計8錠で、再発1回に対する服薬は終了です。 症状がすべて消えるまで追加で飲み続ける方法ではありません。腎機能が低下している方は、服用量や回数を調整します。

PITのお薬を服用した後は

事前に処方するお薬は、次の再発1回分です。服用した後は、今回の経過の確認と、次回の再発に備えた処方のために受診してください。

尖圭コンジローマ

HPV(ヒトパピローマウイルス)によって、性器や肛門の周囲にいぼができる病気です。痛みが少なく、気づかないうちに数が増えたり、大きくなったりすることがあります。

病変の形や部位、大きさ、数を診察して判断します。当院では、局所麻酔を行い、電気を使う医療機器でいぼを焼く治療を行います。病変の数や範囲によっては、複数回に分けて処置します。

治療後は、傷の治りやいぼの残存・再発を確認します。特に治療後3か月以内は再発に注意し、新しいいぼや大きくなるいぼに気づいた場合は、予定の再診日を待たずにご相談ください。

梅毒・HIV無料匿名検査

症状のない方を対象に、宮崎県の事業として、2026年9月1日から12月末まで、梅毒・HIVの無料匿名検査を実施します。

対象となる方、予約方法、検査の流れは、専用ページをご確認ください。

排尿時の痛み、分泌物、発疹などの症状がある方は、無料匿名検査ではなく、診察を受けて必要な検査・治療をご相談ください。

梅毒・HIV無料匿名検査について →

よくあるご質問

症状がなくても検査は必要ですか?

感染していても症状が出ないことがあります。パートナーが感染症と診断された場合や、心配な接触があった場合はご相談ください。接触状況や経過した日数に応じて、検査の必要性と適切な時期をご案内します。

感染が心配になったら、すぐに検査すれば分かりますか?

感染直後は、検査で捉えられない場合があります。接触した日、接触部位、症状が始まった日をお伝えください。必要に応じて再検査をご案内します。

尿検査で、すべての性感染症が分かりますか?

分かりません。のどの感染にはその部位の検査が、梅毒・HIV・B型肝炎などには血液検査が必要です。性器の水疱やいぼなどは、病変の診察も重要です。

症状が治まったら、通院をやめてもよいですか?

症状が改善しても、感染が残っている場合があります。治療後の確認が必要かどうかは、感染症の種類や感染部位によって異なるため、医師の指示に従ってください。

検査は保険で受けられますか?

症状や診察所見から感染症が疑われ、診療上必要と判断される検査は、保険診療の対象となる場合があります。検査の種類や組合せには条件があります。症状のない方の検診目的の検査などは、自費となる場合があるため、診察時にご説明します。

CONSULTATION

ご心配なことをそのままお伝えください

症状や感染への不安、検査の時期が分からない場合も、そのままお伝えください。

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