SYPHILIS TESTING
梅毒の血液検査と結果の見方
梅毒の血液検査では、役割の異なるRPRとTP抗体を組み合わせます。 「陽性・陰性」だけで決めず、症状、感染が心配な時期、過去の治療歴、数値の変化から総合的に判断します。
監修:西本 紘嗣郎(院長・日本泌尿器科学会 専門医・指導医)
2026年9月2日更新
AT OUR CLINIC
当院での検査の流れ
問診
心配な接触の時期、しこり・ただれ・発疹などの症状、過去の梅毒検査・治療歴を確認します。 相手の氏名など、診療に不要な個人情報を伺うことはありません。
必要な範囲の診察
皮膚・粘膜の病変、手のひら・足の裏の発疹、リンパ節などを確認します。 性器周囲の診察が必要な場合は、理由を説明して同意を得た範囲で行います。
腕から採血
採血した血液で、RPRと梅毒トレポネーマ抗体(TP抗体)を 同時に調べることを基本とします。検査値の変化も評価できるよう、定量結果を確認します。
結果説明
外部検査機関で測定するため、通常は当日に確定しません。 2種類の結果と診察所見を合わせ、治療、再検査、経過観察のどれが必要かをご説明します。
宮崎県の無料・匿名検査は、症状のない方を対象とした期間限定のスクリーニングです。 症状がある方、陽性または判定が難しい方、治療が必要な方は通常診療として詳しく評価します。
TWO BLOOD TESTS
RPRとTP抗体は役割が異なります
活動性と治療経過の指標
梅毒に特異的ではない抗体を調べます。感染が活動している程度や治療後の変化をみる重要な指標ですが、 妊娠、自己免疫疾患、ほかの感染症などで梅毒以外でも陽性になることがあります。
梅毒トレポネーマに対する抗体
梅毒への感染を支持する、より特異性の高い検査です。 適切に治療した後も長期間、場合によっては生涯陽性が続くため、TP抗体だけでは治療効果を判定しません。
INTERPRETATION
2種類の結果をどう評価するか
RPR陰性・TP抗体陰性
現時点では抗体を検出していません。ただし感染直後のウインドウ期では両方陰性のことがあり、 接触時期や症状によって再検査が必要です。
RPR陽性・TP抗体陽性
活動性梅毒のほか、治療後も両方の抗体が残っている場合があります。 症状、過去の治療歴、RPRの定量値とその推移から治療の必要性を判断します。
RPR陰性・TP抗体陽性
過去に感染して治療済みの場合のほか、感染初期のこともあります。 治療歴と最近の接触を確認し、必要に応じて2種類を再検査します。
RPR陽性・TP抗体陰性
梅毒以外による生物学的偽陽性や、感染初期などが考えられます。 1回の結果だけで決めず、症状と経過に応じて再検査します。
この組み合わせは一般的な考え方です。検査値には測定法ごとの違いがあり、陽性・陰性だけでなく数値、前回値、症状を合わせて医師が判断します。
WINDOW PERIOD
感染から間もない時期の再検査
感染してもすぐに抗体が検出されるとは限りません。日本性感染症学会の診療ガイドでは、 梅毒を疑う症状がある方や活動性梅毒患者の性的接触者で初回検査が陰性の場合、感染機会からおおむね4週後を目安にRPRとTP抗体を再検査する考え方が示されています。
ただし、しこり・ただれ・発疹がある、パートナーが梅毒と診断された、妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、 4週間待たずに受診してください。診察所見や接触状況によって、検査や治療の時期は個別に判断します。
FOLLOW-UP
治療後はRPRの変化を中心に評価します
治療前のRPR定量値を基準として、症状の改善とRPRの低下を確認します。 日本性感染症学会の診療ガイドでは、RPRとTP抗体をおおむね4週ごとに同じ測定法で確認し、 RPRが治療前より有意に低下していることを治癒判定の中心としています。
治療前のおおむね1/2へ低下
自動化法のRPRでは、治療前値からおおむね半分まで低下することが、治癒を支持する目安です。
治療前の1/4へ低下
2倍系列希釈法では、治療前の4分の1まで低下することが、治癒を支持する目安です。
数値の下がり方には個人差があり、TP抗体は治療後も陽性が続くことがあります。 1回の検査だけで終了せず、状態に応じて検査間隔をあけながら、可能な限り1年間は経過を確認します。
専門医療機関・産婦人科と連携する場合
- 見えにくい、目が痛い、急に視力が低下した
- 聞こえにくい、耳鳴り、強いめまいがある
- 強い頭痛、意識や性格の変化、手足のしびれなど神経症状がある
- 妊娠中または妊娠の可能性がある
- 検査結果と症状が一致せず、追加検査が必要である
眼梅毒・神経梅毒・妊娠期梅毒などが疑われる場合は、対応できる専門医療機関または産婦人科へ速やかにご紹介します。
よくあるご質問
RPRとTP抗体のどちらか一方だけで梅毒と診断できますか?
原則として、一方の結果だけでは判断しません。RPRとTP抗体を組み合わせ、症状、感染が心配な時期、過去の治療歴、以前の検査値を合わせて評価します。
RPRとTP抗体が両方陰性なら、感染は完全に否定できますか?
感染から間もない時期は、両方とも陰性になることがあります。症状がある場合や、梅毒と診断された方との接触がある場合は、陰性でも再検査や早めの診察が必要です。
治療後もTP抗体が陽性なのは、治っていないという意味ですか?
TP抗体は治療後も長く陽性が続くことが多く、陽性というだけで治療失敗とは判断しません。主に症状の経過とRPRの定量値の変化を確認します。
検査結果は当日に分かりますか?
当院から外部検査機関へ提出するため、通常は当日には確定しません。結果説明の日程と方法は検査時にご案内します。
CONSULTATION
接触時期や過去の結果もご持参ください
健診・献血・他院などの検査結果、過去の治療内容が分かるものがあればお持ちください。 症状がなくても、感染が心配な時期に合った検査をご案内します。