HEPATITIS B & C
B型・C型肝炎の検査と治療
検診・詳しい検査から、当院での経過観察・専門医へのご紹介まで
監修:西本 紘嗣郎(院長)
2026年9月13日更新

当院で宮崎市の肝炎ウイルス検査を受けられます
一般的な健診のAST・ALTが正常でも、B型・C型肝炎ウイルスに感染していないとは限りません。検査結果に「HBs抗原」「HCV抗体」があるか確認し、受けたことがない方は一度ご相談ください。
にしもと内科・泌尿器科・人工透析内科は、宮崎市の肝炎ウイルス検査の実施医療機関です。B型・C型肝炎ウイルスに感染していないか、採血で調べることができます。
宮崎市の肝炎ウイルス検査(2026年度)
- 対象:宮崎市に住民登録があり、過去にB型・C型肝炎ウイルス検査を受けたことがない方。すでに診断されている方や、ほかの制度で受ける機会がある方は対象外です。
- 期間:2026年6月1日〜2027年3月31日
- 費用:指定医療機関での対象者の検査は無料です。
- 受診券の「肝炎ウイルス検査」欄を確認してください。受診券がない方は宮崎市へお問い合わせください。当院は市の一覧に「にしもと泌尿器科」として掲載されています。
検査をご希望の方は、当院へ事前にご予約ください。予約時に「宮崎市の肝炎ウイルス検査を希望」とお伝えください。以前に検査を受けたか分からない場合も、ご相談いただけます。
検診と、陽性判定後の精密検査は別です。追加の採血や超音波がすべて無料になるわけではありません。当院での受検方法と費用は、症状・検査歴・制度の対象を確認してご案内します。
検診から詳しい検査・経過観察・専門医への紹介まで
① B型のスクリーニング
HBs抗原
陽性
② ウイルスの状態を確認
- HBV DNA定量
- HBe抗原
- HBe抗体
↓ ③ 肝臓の評価へ
陰性
最近の感染が疑われる場合は、再検査を検討
① C型のスクリーニング
HCV抗体
陽性
② 現在の感染を確認
HCV RNA
検出
現在の感染あり
↓ ③へ
非検出
過去の感染・治療歴を確認。必要なら再検査
陰性
最近の感染が疑われる場合は、追加検査を検討
③ 肝臓への影響を評価(当院で相談できます)
採血
- AST・ALT
- 総ビリルビン
- アルブミン
- 血小板数
- PT(プロトロンビン時間・活性/INR)
腹部超音波検査
肝臓の形・表面・内部の様子、しこり、腹水を確認
シェアウェーブ検査
肝臓の硬さを測り、線維化の程度を推定
④ 検査結果に応じて方針を判断
ウイルスの状態、肝臓の炎症、線維化の程度を確認します。
経過観察の場合
当院で経過観察
定期的な採血・超音波検査で、肝臓の状態を確認します。
抗ウイルス薬治療が必要な場合
専門医療機関へ紹介
検査結果・超音波所見・これまでの経過を添えてご紹介します。
それぞれの採血で、何が分かりますか?
- HBs抗原
- B型肝炎ウイルスに現在感染している可能性を調べます。陽性の場合は追加検査を行います。
- HCV抗体
- C型肝炎ウイルスに感染したことがあるかを調べます。自然にウイルスが消えた方や治療で排除された方でも陽性が続くため、この検査だけでは現在の感染は決まりません。
- HBV DNA定量
- 血液中のB型肝炎ウイルスの量を測定します。治療の必要性や経過を判断する材料です。量だけで肝臓の傷み具合は分かりません。
- HBe抗原・HBe抗体
- B型肝炎ウイルスの増え方や感染の経過を知る手がかりです。HBe抗原が陰性でもウイルスが増えている場合があり、HBV DNAと合わせて確認します。
- HCV RNA
- C型肝炎ウイルスの遺伝子を調べ、現在血液中にウイルスがいるかを確認します。検出された場合は専門医療機関で治療を検討します。
- AST・ALT
- 肝臓の細胞が傷んでいないかをみる検査です。正常でも、感染や肝臓の線維化を否定できるわけではありません。
- 総ビリルビン
- 黄疸に関係する成分です。肝臓での処理や胆汁の流れに問題がないかを考える材料になります。
- アルブミン
- 肝臓で作られるたんぱく質です。肝臓の働きをみますが、栄養状態や腎臓の病気にも影響されます。
- 血小板数
- 血を止める働きのある細胞の数です。肝臓の線維化が進むと減ることがありますが、ほかの原因でも変化します。
- PT(プロトロンビン時間・活性/INR)
- 血の固まりやすさを調べ、肝臓が血液凝固に必要なたんぱく質を作れているかをみます。肝炎の重症度の判断にも使い、血を固まりにくくする薬の影響も確認します。
B型肝炎の過去の感染や免疫を調べる必要がある場合は、HBs抗体・HBc抗体も確認します。特に抗がん剤や免疫を抑える治療の前には、過去の感染からウイルスが再び増える「再活性化」に注意した検査が必要です。
超音波で肝臓の形と硬さを調べます
腹部超音波検査(腹部エコー)
お腹に超音波を当て、肝臓の形、表面の凹凸、内部の様子、しこりや腹水の有無を確認します。放射線を使わない検査です。異常が疑われる場合は、専門医療機関でCTやMRIを追加します。
シェアウェーブ・エラストグラフィ
当院では、超音波で肝臓の硬さを測るシェアウェーブ検査にも対応しています。肝炎による傷のあとが積み重なる「線維化」の程度を推定し、採血だけでは分かりにくい肝臓の状態を考える材料にします。
肝臓は、炎症が強いとき、血液がうっ滞しているとき、胆汁の流れが悪いときにも硬く測定されることがあります。数値だけで肝硬変と決めず、採血や通常の超音波所見と合わせて判断します。
薬による治療を始めるのは、どのようなときですか?
B型肝炎とC型肝炎では、治療を始める判断が異なります。検査結果を組み合わせて、治療の必要性を確認します。
B型肝炎:ウイルス量・炎症・線維化で判断します
HBs抗原が陽性でも、すべての方がすぐに薬を使うわけではありません。成人の慢性B型肝炎では、主に次の基準で判断します。
| 肝臓の状態・検査結果 | 治療を考える目安 |
|---|---|
| 慢性肝炎 | ALT 31 U/L以上、かつHBV DNA 2,000 IU/mL以上。HBe抗原の陽性・陰性を問いません。 |
| 中等度以上の線維化〔F2以上〕 | HBV DNAが陽性なら、ALTが正常でも治療対象になります。 |
| 肝硬変 | HBV DNAが陽性なら、ALTやウイルス量にかかわらず治療対象になります。 |
| ALTとウイルス量の基準の片方だけを満たす場合 | 線維化の程度や肝がんの家族歴を確認し、治療の必要性を検討します。 |
ALTは肝臓の炎症、HBV DNAはウイルスの量を調べる検査です。線維化は、肝臓に傷跡のような組織が増えている状態を指します。
ALTが正常でも、線維化が進んでいる場合には治療が必要です。当院で行う超音波やシェアウェーブによる肝臓の硬さの測定も、線維化を評価するための情報になります。硬さの数値だけで確定せず、採血や画像所見と合わせて判断します。
一方、炎症が落ち着き、ウイルス量が少なく、線維化も進んでいない方は、薬を使わず定期的に経過観察します。
日本肝臓学会:B型肝炎治療ガイドライン 第5版(2026年6月)
C型肝炎:現在もウイルスがいるかを確認します
HCV抗体は、過去の感染や治療によってウイルスが消えた後も陽性になることがあります。現在の感染の有無は、HCV RNAで確認します。
| 検査結果 | 判断と次の対応 |
|---|---|
| HCV抗体陽性 | HCV RNAを測定し、現在もウイルスがいるか確認します。 |
| HCV RNA陽性 | ALTが正常でも、原則として抗ウイルス治療を検討します。 |
| HCV抗体陽性・HCV RNA陰性 | 通常は抗ウイルス治療の対象になりません。最近の感染が疑われる場合には再検査を検討します。 |
肝炎が進むと、どうなりますか?
B型・C型肝炎では、自覚症状が少ないまま炎症が続くことがあります。炎症による傷が繰り返されると線維化が進み、やがて肝臓が硬くなる「肝硬変」に至る場合があります。すべての方が同じように進行するわけではありません。
肝硬変が進むと、次のような問題が起こります。
| 起こり得る問題 | 体への影響 |
|---|---|
| 腹水・むくみ | お腹や足に水分がたまります。 |
| 黄疸 | 肝臓での処理が滞り、皮膚や白目が黄色くなります。 |
| 食道・胃の静脈瘤からの出血 | 膨らんだ血管が破れ、吐血などの大量出血を起こすことがあります。 |
| 肝性脳症 | 有害な物質を十分に処理できず、判断力や意識に影響が出ます。 |
肝臓の働きが大きく低下すると肝不全となり、生命に関わります。
B型肝炎でも、肝がんになることがあります
肝がん(肝細胞がん)は、C型肝炎だけでなく、B型肝炎からも発生することがあります。B型では、肝硬変になっていなくても肝がんが生じることがあります。症状がない方や肝臓の炎症が落ち着いている方も、定期的な検査が大切です。
抗ウイルス治療は肝がんの危険を減らしますが、ゼロにはできません。B型でウイルスが抑えられた後や、C型でウイルスが消えた後も、肝臓の状態に応じて腹部超音波などの定期検査を続け、早期発見につなげます。
治療の目的は、現在の炎症を抑えることに加え、将来の肝硬変や肝がんの危険を減らすことです。症状が出る前に感染を見つけ、必要な治療につなげることが大切です。
専門医による治療の方法と、今後の見通し
B型肝炎:ウイルスを抑え、肝臓を守る治療
治療が必要な場合は、エンテカビルやテノホビルなどの飲み薬でウイルスの増殖を抑えます。状態によってはインターフェロンによる治療を検討します。感染している方全員が、すぐに薬を始めるわけではありません。
治療で肝臓の炎症を抑え、肝硬変や肝がんへ進む危険を減らすことが期待できます。ただし、ウイルスを体から完全になくすことは難しく、長期間の服薬が必要になる場合があります。自己判断で中止せず、定期的に検査を受けることが大切です。
C型肝炎:飲み薬でウイルスの排除を目指します
現在は、ウイルスに直接働く飲み薬(DAA)を組み合わせる治療が中心です。多くの場合、8〜12週間ほど内服します。薬や期間は、肝硬変の有無、これまでの治療歴、腎機能、併用薬を確認して専門医が選びます。
治療によってウイルスの排除が期待でき、肝臓の炎症や将来の肝がんの危険を減らすことにつながります。治療後も、とくに線維化が進んでいる方や肝硬変の方では肝がんの危険が残るため、定期検査を続けます。
日本肝臓学会:B型肝炎治療ガイドライン 第5版(2026年6月) / 日本肝臓学会:C型肝炎治療ガイドライン 第8.4版(2025年4月)
よくあるご質問
検診で陽性なら、すぐに薬を飲むのですか?
陽性だけで薬は決まりません。追加検査と肝臓の状態を確認します。経過観察の場合は当院で定期的に確認し、抗ウイルス薬治療が必要な場合は専門医療機関へご紹介します。
検診の検査と、その後の検査は同じですか?
入口はHBs抗原とHCV抗体です。C型では抗体の量に応じてHCV RNAまで検診に含まれる場合があります。すでに行われた検査は結果を確認し、必要な追加検査を選びます。
家族と食事や入浴を分ける必要がありますか?
通常の食事、会話、握手、入浴で感染するものではありません。血液が付く可能性のある歯ブラシやかみそりは共用せず、出血している傷は覆ってください。B型肝炎には予防ワクチンがあります。同居のご家族やパートナーは検査と接種をご相談ください。C型肝炎にはワクチンがなく、治療後も再感染に注意が必要です。
参考資料
日本肝臓学会のガイドラインを中心に、患者さん向けに当院で整理した説明・フローチャートです。2026年9月12日確認。