TYPE 2 DIABETES CARE
2型糖尿病の治療について
食事・運動・お薬
監修:西本 紘嗣郎(院長)
2026年9月8日更新
2型糖尿病では、血糖値を下げるホルモン「インスリン」が効きにくくなることと、必要な量を出せなくなることが重なります。体質、年齢、生活環境など、さまざまな要因が関わります。
治療では食事・運動・お薬を組み合わせ、体の状態や暮らしに合う方法を一緒に考えます。ここでは、妊娠中を除く成人の2型糖尿病について、治療の基本をご案内します。
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治療の目的と、血糖値・HbA1cの目標
治療の目的は、目・腎臓・神経・血管などの合併症を防ぎ、日々の生活を健やかに続けられるようにすることです。血糖値に加えて、血圧、コレステロール、体重、喫煙の有無も確認します。
HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は、最近の血糖値の状態を知るための血液検査です。一般的には、合併症の予防を目指す目安として7.0%未満が用いられます。
ただし、目標は一人ひとり異なります。年齢、糖尿病の経過、腎臓などの状態、血糖値が下がりすぎる「低血糖」の危険性を考えて決めます。高齢の方や低血糖を起こしやすい方では、目標を緩やかにする場合があります。
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食事は、量とバランスを整えます
必要な栄養をとりながら、食べすぎを見直します。適切な食事量は、体格、活動量、年齢、腎臓の状態などによって変わります。
- ごはん・パン・麺などの主食は量を決め、魚・肉・卵・大豆製品などのおかずと野菜を組み合わせます。
- 砂糖入りの飲み物や間食の量・回数を振り返り、できるところから調整します。
- 欠食やまとめ食いを避け、仕事や生活に合った食事のとり方を考えます。
炭水化物を極端に減らすなど、自己流の厳しい制限は避けましょう。高齢の方ややせている方では、体重や筋肉を減らしすぎないことも大切です。
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運動は、無理なく続けることから
体を動かすと、筋肉で糖が使われ、インスリンも働きやすくなります。まずは短い散歩や家事など、今の生活の中で体を動かす時間を少し増やしましょう。
体調や合併症に問題がない方では、ウォーキングなどを週に合計150分程度以上行うことが一つの目安です。最初から達成しようとせず、短い時間から始めて、軽い筋力運動も組み合わせます。長時間座り続けることも減らしましょう。
心臓の病気、進んだ目の合併症、足の傷などがある方や、血糖値が著しく高い方は、運動の内容を先に相談してください。インスリンや一部の飲み薬を使う方では、運動中や運動後の低血糖にも注意が必要です。
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飲み薬と注射薬は、体の状態に合わせて選びます
食事や運動だけでは目標に届かないときは、薬を組み合わせます。血糖値がかなり高い場合や症状がある場合には、治療の初めから薬やインスリンが必要になることもあります。
主な飲み薬の働き
| 薬の成分・種類 | 主な働きと注意点 |
|---|---|
| メトホルミン | 主に肝臓で糖が作られすぎるのを抑えます。胃腸症状や、腎機能・脱水への注意が必要です。 |
| DPP-4阻害薬 | 食後に腸から出るホルモンの働きを長持ちさせ、血糖値に応じてインスリンが出るのを助けます。 |
| SGLT2阻害薬 | 尿へ糖を出すことで血糖値を下げます。脱水や性器・尿路の感染などに注意します。 |
| SU薬・グリニド薬 | 膵臓からインスリンが出るのを促します。低血糖に注意が必要です。 |
このほか、食後の糖の吸収を遅らせる薬や、インスリンの働き・分泌を助ける薬などがあります。
注射による治療
インスリンは、体に足りないインスリンを補います。血糖値の状態に合わせて、種類、量、注射の回数を決めます。2型糖尿病では、一時的に使う場合も、継続して使う場合もあります。
GLP-1やGIPの働きを利用する薬は、血糖値に応じてインスリンが出るのを助けます。セマグルチド(オゼンピック)やチルゼパチド(マンジャロ)などがあり、食欲や体重にも作用します。GLP-1の働きを利用する薬には飲み薬もあります。
GLP-1・GIPの働きを利用した2型糖尿病治療について詳しく読む
薬を選ぶときに確認すること
血糖値だけでなく、体格、インスリンを出す力、腎臓・心臓の病気、副作用、費用、飲み忘れや注射の負担を確認します。心不全や慢性腎臓病がある方では、適応を確認したうえで、心臓や腎臓を守る効果も考えて薬を選びます。
薬は効果と副作用を見ながら調整します。飲みにくさや困っていることがあれば、遠慮なくお伝えください。
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定期検査で、合併症を早く見つけます
合併症は、自覚症状が少ないうちから進むことがあります。血糖値が落ち着いている方も、必要な検査を定期的に受けましょう。
- 血糖値・HbA1c、血圧・脂質・体重:治療の効果と、血管にかかる負担を確認します。
- 腎臓:血液検査のeGFRと尿アルブミンなどを調べます。
- 目:見え方に異常がなくても、眼科で網膜の検査を受けます。
- 足・神経:しびれ、感覚の低下、傷、血流の状態を確認します。歯や歯ぐきのケアも続けましょう。
当院では検査結果と体調を確認し、治療を見直します。受診時は、検査結果、お薬手帳、家庭で測った血糖値や血圧の記録があればご持参ください。眼科などの専門的な診療が必要な場合は、適切な医療機関と連携します。
よくあるご質問
薬を使い始めたら、食事や運動は必要なくなりますか?
薬を使う場合も、食事や運動は治療の土台になります。体力や生活に合わせ、無理なく続けられる方法を一緒に考えます。
インスリン注射を始めると、一生やめられませんか?
2型糖尿病では、強い高血糖などのために一時的にインスリンを使い、状態が落ち着いてから飲み薬などへ変更できる場合もあります。一方で継続が必要な方もいます。変更や中止は検査結果をもとに医師が判断します。
HbA1cがよくなったら、通院をやめてもよいですか?
よい状態を保つために、定期的な確認を続けることが大切です。薬を減らせる場合もありますが、自己判断で中止せず、診察で相談してください。
低血糖や、体調が悪いときの相談
冷や汗、手の震え、動悸などは低血糖のサインの場合があります。意識がはっきりして飲み込める場合は、あらかじめ説明された方法でブドウ糖をとってください。意識がはっきりしない場合は無理に飲食させず、119番へ連絡してください。
発熱、嘔吐、下痢などで食べられない日は、薬の対応が普段と変わることがあります。特にインスリンは自己判断で中止せず、早めにご相談ください。水分がとれない、吐き続ける、強い口の渇きや急な体重減少があるときも、受診を先延ばしにしないでください。