にしもと内科・泌尿器科・人工透析内科

BNP検査・心臓超音波検査で

心不全の早期発見・進行予防

ベッドで横になり、胸に超音波のプローブを当てて心臓超音波検査を受けるぴーちゃん

症状が出る前から、心臓を守るために。

監修:西本 紘嗣郎(院長)

2026年10月11日更新

生活習慣病の診療から、心不全の予防へ

心不全は、心臓の働きが低下し、息切れやむくみ、疲れやすさなどが現れる病気です。高血圧、糖尿病、慢性腎臓病などは、心不全につながる危険因子になります。

当院では、生活習慣病の診療において、血圧や血糖の管理だけでなく、心臓への負担にも目を向けています。心不全を早い段階で見つけ、発症や進行のリスクを抑えることを目指します。

心不全には、症状が出る前の段階があります

症状の有無と心臓の状態から、次のように分類します。症状が出る前からの対策が大切です。

ステージ A

心不全リスク

高血圧・糖尿病・慢性腎臓病などの危険因子があります。心臓の構造や働きに明らかな異常がなく、心不全の症状もありません。

目標:危険因子を管理する

ステージ B

前心不全

心不全の症状がこれまでなく、心臓の構造や働きに異常がある段階です。心臓への負担を示す検査結果なども含めて評価します。

目標:心不全の発症を防ぐ

ステージ C

症候性心不全

心臓の異常があり、現在または過去に心不全の症状がある段階です。治療で症状が落ち着いていても、この段階に含まれます。

目標:症状の改善・悪化や再入院の予防

ステージ D

治療抵抗性心不全

適切な治療を行っても強い症状が続き、さらに専門的な治療や支援が必要な段階です。

目標:専門的な治療と暮らしを支えるケア

図1:心不全の段階と対策。ガイドラインの分類を参考に当院が独自に作成した説明図です。原図の転載ではありません。

参考:2025年改訂版 心不全診療ガイドライン、本文p.20(ステージ分類)。

BNP検査と心臓超音波検査による評価

BNPは、心臓への負担を調べる血液検査です。

  1. 診察で検査の必要性を判断

    生活習慣病のある方について、症状・診察所見・これまでの病歴などを確認し、検査が必要かを判断します。

  2. BNPを測定

    血液検査で、心臓に負担がかかっている可能性を調べます。腎機能や年齢、不整脈などの影響も考慮します。

  3. 高値の場合は、心臓超音波検査へ

    心臓の収縮・拡張の働きや、心臓の大きさ、弁の状態などを確認します。BNPが低くても、症状などに応じて検査を検討します。

  4. 結果を合わせて評価し、治療・経過観察

    検査値だけで心不全と診断せず、症状や画像検査などと合わせて評価します。必要に応じて循環器専門医と連携します。

図2:当院での評価の流れ。診察結果に応じて、検査の順序や組み合わせを調整します。

BNPを読むときの目安

急な症状がない外来での評価を考える際の目安です。急な呼吸困難時の判定基準ではありません。

BNP(pg/mL)評価の目安
35未満心不全の可能性は低いと考えますが、症状などに応じて評価・経過観察します。
35以上100未満前心不全や心不全の可能性を考え、心臓超音波検査などで確認します。
100以上200未満心不全の可能性が高く、詳しい評価を検討します。
200以上悪化・入院のリスクが高い心不全の可能性があり、より慎重な評価が必要です。

数値だけでは診断やステージを決められません。BNPは腎機能の低下、年齢、心房細動などで高くなり、肥満のある方では低くなることがあります。服用中の薬も確認します。低値でも心不全を否定できない場合があります。

参考:2025年改訂版 心不全診療ガイドライン、本文p.34–35(診断・検査値の解釈)。

「前心不全」の段階から対策します

ステージB(前心不全)では、症状が出る前から適切に対応することが大切です。当院では、血圧・血糖・脂質の管理、減塩、適切な運動、体重管理、禁煙などを支援します。

薬物療法は、心臓の働きや腎機能、併存する病気に応じて選択します。ACE阻害薬/ARB、β遮断薬、ARNI、MRA、SGLT2阻害薬などについて、それぞれの適応と安全性を確認し、必要な方に使用します。

心臓の収縮する力が低下している方では、ACE阻害薬/ARBやβ遮断薬などを検討します。ARNI、MRA、SGLT2阻害薬も、高血圧・糖尿病・慢性腎臓病・心不全など、それぞれの病態と薬剤の適応を確認して選択します。ステージBの方全員に同じ薬の組み合わせを使うわけではありません。

治療中も血圧・脈拍・腎機能・血清カリウムなどを確認し、状態に合わせて調整します。必要に応じて循環器専門医と連携し、詳しい検査や専門的な治療につなげます。

参考:2025年改訂版 心不全診療ガイドライン、本文p.62–63(ステージBの薬物療法)、心不全予防ステートメント。

体調の変化は、早めにお知らせください

以前より息切れしやすい、足がむくむ、横になると息苦しい、体重が急に増えたなどの変化があれば、ご相談ください。突然の強い息苦しさや強い胸痛がある場合は、119番など緊急時の対応が必要です。

緊急時・時間外のご案内

参考資料・ガイドライン

  1. 日本循環器学会・日本心不全学会:2025年改訂版 心不全診療ガイドライン(公式PDF)。本文p.20(分類)、p.34–35(BNP)、p.62–63(ステージBの治療)。
  2. 日本心不全学会:心不全予防ステートメント(公式PDF)。心不全リスク・前心不全への対応、検査の位置づけと病態に応じた治療。

2026年10月11日確認。ページ番号は資料に印刷された本文の番号です。説明図はガイドラインの医学的事項を参考に当院が作成し、元の図の画像や構図は使用していません。

このページは患者さん向けの一般的な説明です。検査の必要性・保険適用や、個別の治療は、診察で確認した状態に応じて医師が判断します。

心臓への負担が気になる方へ

高血圧、糖尿病、慢性腎臓病などで通院中の方、健診結果や体調の変化が気になる方は、診察時にご相談ください。健診結果やお薬手帳があればお持ちください。