CHRONIC KIDNEY DISEASE
慢性腎臓病(CKD)の診療
健診で腎機能の低下や尿蛋白を指摘された方へ
監修:西本 紘嗣郎(院長)
2026年10月18日更新
慢性腎臓病とは
「腎臓の数値がよくない」「尿に蛋白が出ている」と言われたことはありませんか。腎臓の病気は、初めのうちは自覚症状が少ないことがあります。症状がなくても、健診で異常を指摘されたらご相談ください。
当院では、血液検査と尿検査を組み合わせ、これまでの変化も確認しながら診療を進めます。
慢性腎臓病(CKD)は、尿蛋白などの腎臓の障害を示す所見、またはeGFR 60 mL/min/1.73 m²未満の状態が、3か月を超えて続く病気です。糖尿病や高血圧などが関係することもあります。以前の検査結果や再検査で、異常が続いているかを確認します。
受診まで3か月待つ必要はありません。
腎臓の状態は、血液と尿の両方で確認します
血液検査のeGFRは、腎臓が血液をろ過する働きの目安です。尿蛋白・尿アルブミンの検査では、尿に蛋白が漏れていないかを調べます。アルブミンは蛋白の一種です。
eGFRが同じでも、尿の蛋白量によってリスクは異なります。下の表では、組み合わせる尿検査の値がない方も含めて、当院の患者さんの人数を紹介します。日本の分類では、糖尿病のある方は主に尿アルブミン/Cr比、糖尿病のない方は主に尿蛋白/Cr比で評価します。病状に合わせて検査を選びます。
eGFRの行と、尿検査の結果に当てはまる列を組み合わせて見ます。Crはクレアチニンの略で、尿の濃さの影響を補正するために用います。健診の尿検査にある「+」「2+」を、そのままA1〜A3に置き換えることはできません。
取り込み済み患者台帳(2026年8月時点)の全対象者:1158人
下の2つの表は、取り込み済み患者台帳の全員を対象とし、利用できる尿検査やeGFRの結果がない方も含めた匿名集計です。台帳は特定の時点の情報で、当院の現在の全患者さんを網羅しているとは限りません。糖尿病の病名登録に基づいて分けており、登録がないことは糖尿病がないという確定診断ではありません。CKD・DKDと確定診断された方に限定した集計でもありません。
1人につき利用できる最新のeGFRを基準に、前後90日以内で最も近い、利用できる尿定量値を組み合わせています。同じ日数だけ離れた検査がある場合は、新しい日付の検査を使います。尿定性検査だけの方や、この期間内に利用できる尿定量値がない方は「尿定量値なし」の列に分け、未測定を正常とは扱いません。
糖尿病の登録がない方:CKDの評価
検査データの期間:2025年10月〜2026年8月 対象人数:1089人
表を左右に動かすと、A1・A2・A3と「尿定量値なし」の列を確認できます。
| 腎臓の働きeGFRmL/min/1.73 m² | A1尿蛋白/Cr比 (g/gCr)0.15未満 | A2尿蛋白/Cr比 (g/gCr)0.15以上0.50未満 | A3尿蛋白/Cr比 (g/gCr)0.50以上 | 尿定量値なしeGFR検査日の前後90日以内 |
|---|---|---|---|---|
| G190以上 | 10未満低い※ | 10未満やや高い | 0高い | 33リスク判定なし |
| G260〜89 | 21低い※ | 10未満やや高い | 10未満高い | 165リスク判定なし |
| G3a45〜59 | 40やや高い | 11高い | 10未満非常に高い | 50リスク判定なし |
| G3b30〜44 | 10未満高い | 10未満非常に高い | 10未満非常に高い | 15リスク判定なし |
| G415〜29 | 10未満非常に高い | 0非常に高い | 0非常に高い | 10未満リスク判定なし |
| G515未満 | 0非常に高い | 10未満非常に高い | 0非常に高い | 10未満リスク判定なし |
取り込み済みデータに利用できるeGFR値がない方:717人。上の対象人数に含まれますが、G区分に分けられないため表の外に示しています。
糖尿病の登録がある方:DKDの評価
検査データの期間:2025年10月〜2026年8月 対象人数:69人
糖尿病関連腎臓病(DKD)の評価では、腎機能と尿アルブミンを確認します。この表は糖尿病の病名登録に基づく集計で、DKDと確定診断された方に限定したものではありません。
表を左右に動かすと、A1・A2・A3と「尿定量値なし」の列を確認できます。
| 腎臓の働きeGFRmL/min/1.73 m² | A1尿アルブミン/Cr比 (mg/gCr)30未満 | A2尿アルブミン/Cr比 (mg/gCr)30以上300未満 | A3尿アルブミン/Cr比 (mg/gCr)300以上 | 尿定量値なしeGFR検査日の前後90日以内 |
|---|---|---|---|---|
| G190以上 | 10未満低い※ | 10未満やや高い | 0高い | 10未満リスク判定なし |
| G260〜89 | 15低い※ | 10未満やや高い | 0高い | 10未満リスク判定なし |
| G3a45〜59 | 10未満やや高い | 10未満高い | 0非常に高い | 10未満リスク判定なし |
| G3b30〜44 | 10未満高い | 10未満非常に高い | 0非常に高い | 0リスク判定なし |
| G415〜29 | 10未満非常に高い | 0非常に高い | 10未満非常に高い | 10未満リスク判定なし |
| G515未満 | 0非常に高い | 0非常に高い | 0非常に高い | 10未満リスク判定なし |
取り込み済みデータに利用できるeGFR値がない方:12人。上の対象人数に含まれますが、G区分に分けられないため表の外に示しています。
1〜9人の区分は「10未満」と表示しています。合計から少人数を逆算できないよう、ほかの人数も「非表示」にすることがあります。正確な少人数や割合は掲載していません。集計時点:2026年10月。
※G1・G2でA1の場合、ほかに腎障害を示す所見がなければCKDには該当しません。A1〜A3の色とリスクの言葉は、腎不全や心血管疾患などの相対的なリスクを示します。灰色の列はリスク未判定で、低リスクを意味しません。数字は人数であり、個人の発症確率ではありません。異なる日の検査を組み合わせた集計で、診断を確定するものではありません。
この表はリスクを把握するための目安です。診療では、原因や異常が続いている期間、年齢、検査値の変化も合わせて判断します。この表だけで、薬を始めるかどうかが決まるわけではありません。
今回の数値だけでなく、これまでの変化をみます
当院では、今回の検査値を以前の結果と比較し、必要に応じてグラフでも経過を確認します。eGFRや尿検査の変化に加え、血圧、糖尿病の状態、使用中の薬も確認します。
患者さんの状態に合わせて治療や検査の間隔を調整します。詳しい検査や治療が必要な場合には、専門の医療機関と連携します。
腎臓を守るための治療
血圧や血糖の管理、減塩、無理のない運動、禁煙などを組み合わせます。食事は、腎機能や栄養状態に合わせて相談します。腎機能低下や腎不全への進行リスクを抑えることを目指します。
当院では、血液検査と尿検査で腎臓の状態を確認し、必要に応じて、腎臓を守る薬(SGLT2阻害薬)を使います。
使用にあたっては、eGFR、尿検査の結果、糖尿病・心不全の有無、使用できない条件や副作用のリスクを確認します。
適応のある方への治療は、ガイドラインやDAPA-CKD・EMPA-KIDNEY試験などを根拠としています。これらの試験は腎臓病の進行など複数の出来事を組み合わせた指標を評価したもので、すべての患者さんに同じ効果を保証するものではありません。 KDIGO 2024 / DAPA-CKD / EMPA-KIDNEY
受診の際にお持ちいただきたいもの
- これまでの健診結果・血液検査・尿検査の結果
- お薬手帳
- 家庭血圧の記録(お持ちの方)
急に尿が少なくなった、むくみが悪化した場合は、次の予約日を待たずに早めにご相談ください。強い息苦しさがある場合は、救急受診が必要です。
よくあるご質問
症状がなくても、受診したほうがよいですか?
健診で腎機能の低下や尿蛋白を指摘されたら、症状がなくてもご相談ください。以前の結果との比較や再検査で状態を確認し、必要な検査・治療を考えます。
慢性腎臓病になると、必ず透析が必要になりますか?
慢性腎臓病と診断された方すべてが透析を必要とするわけではありません。原因、腎機能、尿検査の結果、これまでの変化を確認し、進行リスクを抑えることを目指して治療を続けます。