URINARY STONES
尿路結石の検査と治療
強い腰・脇腹の痛みや血尿に対し、痛みへの対応と院内での画像検査を速やかに行います。排石後の確認から再発予防まで、結石の状態や検査結果に応じて診療します。
監修:西本 紘嗣郎(院長・日本泌尿器科学会 専門医・指導医)
2026年9月19日更新
尿路結石・尿管結石とは
腎臓でできた結石が尿管へ移動すると、突然の強い腰・脇腹の痛み、血尿、吐き気などが起こることがあります。 似た症状を示す病気もあるため、診察や検査で原因を確認します。
当院の診療の流れ
診察・検査
痛み、発熱、これまでの病気や結石の治療歴などを確認します。症状やこれまでの検査結果に応じて、以下の検査を行います。
- 尿検査:血尿、尿路感染の兆候、尿のpH(酸性・アルカリ性の程度)などを調べます。
- 血液検査:腎機能、腎盂腎炎などでみられる炎症反応、結石の原因に関係するカルシウム・尿酸の血中濃度などを調べます。
- 画像検査(腹部X線・腹部単純CT):結石の位置・大きさと、尿路の状態を確認します。
痛みへの対応
腎機能や持病、服用中のお薬を確認し、適切な鎮痛薬を使用します。検査のために鎮痛を遅らせず、必要に応じて痛みへの対応と検査を並行して行います。
ジクロフェナク坐剤(腎機能が保たれている方など)
ジクロフェナク坐剤の使用例
腎機能が正常で、使用できない持病などがない場合に検討します。
1回50mgを肛門から挿入します。
重い腎機能障害がある方には使用しません。胃・十二指腸潰瘍、鎮痛薬で誘発される喘息、心臓病、妊娠の可能性なども確認して判断します。
アセリオ点滴(アセトアミノフェン)
腎機能が低下した方などで、内服・坐剤が難しく点滴が適切な場合に使用します。
治療方針を決定
結石の大きさ・位置、尿路閉塞や感染の有無から、自然排石を待つ治療、薬物療法、専門医療機関での処置など、適切な方法をご案内します。
排石後の確認と再発予防
痛みが治まっても、結石が残っていることがあります。必要に応じて画像検査や血液検査を行い、尿の流れや腎機能の回復を確認します。
排出された石を回収できた場合は、成分を調べて再発予防に役立てます。
再発予防では、水分や食事の見直しに加え、これまでの結石の経過や検査結果に応じて、追加の検査や薬による予防を検討します。
再発予防のためのリスク分類
結石の経過や検査結果をもとに、低リスク・高リスクに分類し、再発予防の方針を決めます。
- 低リスクの方:飲水指導・食事指導・生活指導を行います。
- 高リスクの方:これらに加え、原因について詳しい評価が必要かを判断し、結石の成分や検査結果に応じて薬物療法を検討します。
この分類では、再発しやすさに加え、腎臓が一つしかない方など、結石による腎機能への影響にも配慮します。
詳しい分類は、尿路結石症診療ガイドライン2023年版(公式PDF)をご覧ください。
第5章・154〜155ページ:表1「高リスク患者」、表2「薬剤による尿路結石」
※PDFビューアでは167〜168ページに相当します。
結石の原因を調べる検査
これまでの結石の回数や治療歴、ご家族の結石歴、持病、食事・水分摂取、服用中のお薬やサプリメントなどを確認します。
そのうえで、必要に応じて以下の検査を組み合わせ、結石ができた原因を検討します。
- 尿検査:尿のpH、血尿や感染の兆候、尿中の結晶などを確認します。感染が疑われる場合は、尿培養検査を行います。
- 血液検査:腎機能、カルシウム、尿酸、電解質などを確認します。異常がある場合には、原因に応じた追加の検査を検討します。
- 結石の成分分析:回収できた石の成分を調べ、再発予防や薬の選択に役立てます。
- 画像検査:結石の数・大きさ・位置や、尿の流れを確認します。
すべての方に同じ検査を行うのではなく、結石の経過や検査結果に応じて選択します。通常の尿検査や血液検査だけでは原因を十分に判断できない場合には、専門医療機関での詳しい評価につなげます。
日常生活での再発予防
再発予防の基本は、十分な水分摂取と、食事・生活習慣の見直しです。
- 水分をこまめに取る
尿が濃くなりすぎないようにします。心臓病や腎臓病などで水分制限がある方は、主治医の指示に従ってください。 - 塩分や動物性たんぱく質の取りすぎを避ける
極端な制限ではなく、バランスのよい食事を心がけます。 - カルシウムを自己判断で極端に制限しない
結石の種類や検査結果に合わせて、適切な摂取を考えます。 - 体重や生活習慣を見直す
適度な運動と、肥満の予防・改善を心がけます。
結石の種類に応じた検査と予防・治療
結石の成分、再発リスク、尿のpH、腎機能などをもとに、必要な検査と治療を選びます。尿のpHや画像だけでは結石の種類を確定できない場合があるため、回収できた石の成分分析も大切です。
薬による予防には、尿中成分の異常などについて詳しい評価が必要な場合があります。その際は、専門医療機関での検査結果も踏まえて治療方針を決めます。
シュウ酸カルシウム結石
検査
血液検査で腎機能、カルシウム、尿酸などを確認し、尿検査や結石の成分分析の結果と合わせて評価します。血中カルシウムが高い場合には、副甲状腺の病気などがないか、追加の検査を検討します。
予防・治療
飲水や減塩、バランスのよい食事を基本とします。食事内容に偏りがある場合は、シュウ酸を多く含む食品の取りすぎなどを見直します。
詳しい評価で尿中カルシウムの増加やクエン酸の不足などが確認された場合には、サイアザイド系利尿薬やクエン酸製剤などによる予防を検討します。
リン酸カルシウム結石
検査
血液検査で腎機能、カルシウム、リン、カリウムなどを確認し、尿のpHや感染の有無を調べます。
血中カルシウムが高い場合は、副甲状腺ホルモン(PTH)などの検査を検討します。尿細管性アシドーシスが疑われる場合には、血液の酸性・アルカリ性を調べる血液ガス分析など、必要な検査につなげます。
予防・治療
飲水や減塩を基本とし、副甲状腺の病気や尿細管性アシドーシスなどが見つかった場合は、その病気の治療につなげます。
詳しい評価で尿中カルシウムの増加が確認された場合には、サイアザイド系利尿薬などを検討します。尿細管性アシドーシスなどに対してクエン酸製剤を使用する場合は、尿のpHや血液検査を確認しながら調整します。
尿をアルカリ性にすることが、すべての結石の予防に適しているわけではありません。
尿酸結石
検査
血液検査で尿酸と腎機能を確認し、尿のpH、画像検査、結石の成分分析などの結果を合わせて判断します。
予防・治療
飲水や食事の見直しに加え、クエン酸製剤などで尿の酸性の程度を調整します。
尿酸結石では、状態に応じて薬で石を溶かす治療が可能な場合もあります。尿のpHや血液検査、画像検査を確認しながら治療を調整します。
尿酸の排泄異常などが確認され、追加の治療が必要な場合には、アロプリノールなどの薬を検討します。血中尿酸値だけで、尿中への尿酸排泄量を判断することはできません。
感染結石
検査
尿培養検査で原因となる細菌を調べ、薬剤感受性検査で有効な抗菌薬を確認します。尿のpH、腎機能や炎症反応に加え、画像検査で結石の残存や尿の流れも確認します。
予防・治療
感染に対して適切な抗菌薬を使用するとともに、専門医療機関と連携し、できる限り結石を除去することを目指します。
結石が残ると感染が続いたり再燃したりすることがあるため、治療後も尿検査や画像検査で確認します。
シスチン結石
検査
結石の成分分析や尿沈渣での結晶の確認を手がかりに、尿のpH、腎機能、これまでの結石の経過、ご家族の結石歴などを調べます。
シスチン結石が疑われる場合は、専門医療機関での詳しい評価につなげます。
予防・治療
十分な尿量を確保するための飲水指導、減塩、クエン酸製剤などによる尿のアルカリ化を行います。
これらの対策で十分に改善しない場合や再発を繰り返す場合には、専門医療機関での評価を踏まえ、チオプロニンなどの薬を検討します。
※リンク先は医療者向けのガイドラインです。検査や薬物療法には、国内の承認適応や保険上の取り扱いに確認が必要なものも含まれます。実際の検査・治療は、持病や検査結果、副作用などを踏まえて個別に判断します。
再診時の確認
再診では、症状の変化や水分・食事の状況を確認し、必要に応じて尿検査、血液検査、画像検査を行います。
結石の残存・増大・再発や腎機能を確認し、予防薬を使用している場合は、その効果や副作用も評価します。
通院や検査の間隔は、結石の状態やリスク、治療内容に応じて決めます。
院内の検査機器
当院では、腹部X線撮影装置とCT撮影装置を用いて、結石や尿路の状態を確認します。
よくあるご質問
強い痛みがある場合、すぐに検査できますか?
診察で全身状態を確認し、必要な場合は鎮痛を開始しながら院内のX線・単純CT検査を行います。妊娠の可能性などがある場合は検査方法を調整します。
X線検査とCT検査は両方必要ですか?
X線は結石の確認や経過観察に、単純CTは位置・大きさや尿路閉塞の確認に役立ちます。症状や既往歴に応じて必要な検査を選びます。
結石が見つかった後はどうなりますか?
大きさ・位置、尿路閉塞、感染の有無から、自然排石を待つ治療、薬物療法、専門医療機関での処置を判断します。
痛みが治まったら、通院をやめてもよいですか?
痛みが治まっても、結石が残っていることがあります。必要に応じて画像検査や血液検査を行い、結石の状態や尿の流れ、腎機能の回復を確認します。通院を終了する時期は、検査結果を踏まえてご案内します。
排出された石は、持って行ったほうがよいですか?
はい。回収できた石は、診察時にお持ちください。成分を調べることで、結石ができた原因の検討や、再発予防の方法を選ぶ際に役立ちます。
結石の種類は、尿検査だけで分かりますか?
尿のpHや結晶は、結石の種類を考える手がかりになりますが、尿検査だけでは確定できない場合があります。画像検査や血液検査、回収できた石の成分分析などを合わせて判断します。
再発予防の薬は、全員が飲む必要がありますか?
全員に必要なわけではありません。飲水・食事・生活習慣の見直しを基本とし、再発リスクや結石の成分、検査結果に応じて薬物療法を検討します。
CONSULTATION
強い痛みがある方へ
受診前にお電話いただくと、診療状況をご案内できます。 発熱や尿が出ない症状を伴う場合は、その旨をお伝えください。

