にしもと内科・泌尿器科・人工透析内科

INSOMNIA

当院における不眠症の治療

眠りの習慣を整える治療と、目覚めを支える仕組みに働く薬。症状と生活に合わせて選びます。

当院では、認知行動療法に基づくサスメドのアプリMedcle(メドクル)による治療と、デエビゴ・ボルズィなどによる薬物療法をご案内しています。

監修:西本 紘嗣郎(院長)

2026年10月21日更新

まず、眠れない理由を一緒に確認します

寝つけない、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう。こうした状態が続き、日中の疲れや集中力の低下につながっている場合はご相談ください。

睡眠の時間帯、ストレス、飲酒・カフェイン、服用中の薬などを確認します。いびきや無呼吸、脚のむずむず、気分の落ち込みなど、ほかの病気が関係する場合には、その評価や治療も行い、必要に応じて専門医へご紹介します。

認知行動療法に基づくアプリ治療:Medcle

不眠症の認知行動療法(CBT-I)は、眠りを妨げる習慣や、睡眠に対する考え方を整える治療です。「眠らなければ」と焦ることや、眠れないまま長く寝床で過ごすことなどを見直します。

当院では、「サスメド 不眠障害用アプリ Medcle(メドクル)」を保険診療で使用しています。医師の診察のもと、スマートフォンで睡眠を記録しながら、CBT-Iに基づくプログラムに取り組みます。

  • 睡眠日誌で、寝床にいる時間や実際に眠れた時間を振り返ります。
  • 医師の管理のもと、寝床で過ごす時間や起床時刻を調整します。
  • 寝床と眠りの結びつきを整え、睡眠への不安や思い込みを見直します。

治療期間は9週間です。最初の1週間に睡眠の記録と生活習慣の確認を行い、その後8週間のプログラムに進みます。診察で経過を確認しながら続けます。

保険診療の対象について

軽症〜中等症で、睡眠障害の治療薬を服用しておらず、薬による治療が適さない、または希望されない方などが対象です。すべての不眠症に使用できるわけではなく、ほかの病気、勤務形態、スマートフォンの利用状況なども確認します。適応と費用は診察時にご説明します。

治療の初期に日中の眠気が強まることがあります。運転や危険を伴う作業の有無をお知らせください。自己判断で睡眠時間を短くしたり、服用中の薬を中止したりしないでください。

オレキシンと、オレキシン受容体とは?

オレキシンは、脳の中で「目覚めた状態を保つ」働きをする物質です。神経細胞にあるオレキシン受容体は、その信号を受け取る窓口にあたります。

受容体にはOX1とOX2の2種類があります。デエビゴとボルズィは、この両方の受容体にオレキシンが作用するのを妨げ、覚醒を支える信号を弱めることで、眠りに入り、眠りを保ちやすくする薬です。

ただし、不眠症の原因がすべてオレキシンの過剰というわけではありません。生活リズムや体調を含めて治療を考えることが大切です。

薬による治療:デエビゴ・ボルズィ

いずれもオレキシン受容体拮抗薬という種類の薬です。寝つきの悪さ、夜中の目覚め、翌日の活動、年齢、ほかの薬との飲み合わせなどを考慮して選びます。

デエビゴ(レンボレキサント)

日本では2020年に承認された不眠症治療薬です。寝つきや睡眠の維持を助けます。翌朝以降も眠気や注意力の低下が現れることがあるため、服用中は自動車の運転など、危険を伴う機械の操作はしないでください。

ボルズィ(ボルノレキサント水和物)

日本では2025年に承認された不眠症治療薬です。体内の薬の濃度が比較的速く下がる特徴があります。ただし、翌日の眠気が起こらないという意味ではありません。運転の可否は医師が慎重に判断し、眠気や注意力の低下がある場合は運転しないでください。

服用にあたって

  • 医師の指示どおり、就寝直前に服用します。食事と同時・食直後の服用は避けます。
  • 飲酒は避けてください。夜中に起きて仕事などをする予定がある場合は、服用しないでください。
  • 眠気、めまい、悪夢などが起こることがあります。飲み合わせを確認するため、市販薬を含む使用中の薬をお知らせください。
  • 妊娠・授乳中の方、肝臓の病気や呼吸の病気がある方は、処方前にお伝えください。

効き方や翌日の状態を確認し、必要性を見直しながら治療を続けます。どちらか一方が、すべての方に適しているわけではありません。

日本人研究者による発見が、治療薬につながりました

オレキシンは1998年、柳沢正史先生・櫻井武先生らの研究グループによって発見されました。当時、米国テキサス大学サウスウェスタン医学センターで行われた研究です。

同じ年、別の研究グループも「ヒポクレチン」という名前で報告しています。当初は食欲との関係が注目され、その後、目覚めた状態を保つ重要な働きが明らかになりました。この基礎研究が、オレキシン受容体を標的とする不眠症治療薬の開発につながっています。

よくあるご質問

アプリと薬を、両方使う必要がありますか?

必ず両方を使うわけではありません。症状や体調、ご希望に合わせて治療を選びます。Medcleの保険診療には、睡眠障害の治療薬を服用していないことなどの条件があります。すでに睡眠薬を服用中の方も、自己判断で中止せず、まずはご相談ください。

デエビゴやボルズィにも副作用はありますか?

眠気、めまい、悪夢などが起こることがあります。翌日の眠気や転倒、眠っている間の普段と違う行動などがあれば医師にお伝えください。自己判断で量を増やしたり、ほかの睡眠薬を追加したりしないでください。

受診するときは、何を伝えればよいですか?

お薬手帳をお持ちになり、市販薬やサプリメントもお伝えください。寝床に入る時刻、眠れた時刻、起きる時刻、日中の眠気などをメモしておくと役立ちます。運転や夜勤の有無、大きないびきについてもお知らせください。

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