ACUTE CYSTITIS
急性膀胱炎の診断と治療
排尿時の痛みや頻尿、血尿などがあるときは、尿検査で原因を確認し、状態に合った治療を行います。
監修:西本 紘嗣郎(院長・日本泌尿器科学会 専門医・指導医)
2026年9月16日更新
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急性膀胱炎でみられる症状
急性膀胱炎は、主に細菌が尿道から膀胱へ入って起こる尿路感染症です。女性に多く、排尿時の痛みや頻尿などが急に現れます。
- 排尿するときの痛み・しみる感じ
- 何度もトイレに行きたくなる、急に尿意を感じる
- 尿を出しても残っている感じがする
- 下腹部の痛み・不快感
- 尿の濁り、血尿
急性膀胱炎では通常、高い熱や背中・わき腹の痛みはみられません。これらを伴う場合は、腎盂腎炎など膀胱より上の尿路に感染が広がっている可能性があります。
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診断のために行うこと
症状と背景を確認します
症状が始まった時期、発熱や背中の痛み、おりもの・外陰部症状、妊娠の可能性、過去の急性膀胱炎、最近使用した抗菌薬、薬のアレルギーなどを確認します。おりものや性交後の症状が目立つ場合は、腟炎や尿道炎・性感染症も考えます。
尿検査を行います
尿中の白血球、赤血球などを調べ、症状と合わせて判断します。正確に調べるため、可能であれば外陰部に触れた最初の尿を少し流してから、中間の尿を採っていただきます。
必要に応じて尿培養を行います
尿培養では原因菌と効きやすい抗菌薬を確認します。発熱を伴う場合、妊娠中、男性、症状が典型的でない場合、再発を繰り返す場合、耐性菌のリスクがある場合、治療で改善しない場合などに重要です。
ESBL産生菌などの耐性菌かどうかは、症状や通常の尿検査だけでは分かりません。尿培養で菌を調べ、薬剤感受性検査でどの抗菌薬が効くかを確認します。培養を行う場合は、可能であれば抗菌薬を飲み始める前に採尿します。
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治療
抗菌薬を必要最小限の期間で使用します
細菌による急性膀胱炎には、原則として飲み薬の抗菌薬を使います。単純な急性膀胱炎では短期間の治療が基本です。当院では、尿の所見、年齢、腎機能、妊娠の有無、薬のアレルギー、過去の培養結果と抗菌薬使用歴、地域の耐性菌の状況を確認し、セフェム系やペニシリン系などから適切な薬を選びます。
尿培養を行った場合は、結果により抗菌薬を変更することがあります。症状が軽くなっても自己判断で中止したり、以前の残り薬を服用したりせず、処方された日数を守ってください。
飲み薬の抗菌薬:種類と治療期間の目安
次は、発熱・悪寒・背中やわき腹の痛みがなく、妊娠中ではない成人女性の急性単純性膀胱炎を想定した代表例です。診察と尿検査を行い、腎機能、薬のアレルギー、最近の抗菌薬使用歴、過去の尿培養結果を確認して選びます。
以下は国内のJAID/JSC感染症治療ガイドライン2015に記載された処方例を整理したものです。薬の選択順位は、原因菌や患者さんの状態によって異なります。
処方例
アモキシシリン/クラブラン酸(オーグメンチン配合錠250RS)ペニシリン系(βラクタマーゼ阻害薬配合)。処方例は1回1錠、1日3回、7日間。原因菌への効果が見込める場合の選択肢です。処方例
セフカペン ピボキシル(フロモックス錠100mg)経口セフェム系。処方例は1回1錠、1日3回、食後に5~7日間。ESBL産生菌には通常、効果が期待できません。処方例
レボフロキサシン(クラビット錠500mg)ニューキノロン系。国内2015年ガイドラインの急性単純性膀胱炎の処方例は、1回1錠(500mg)、1日1回、3日間。腎機能に応じて用量・投与間隔を調整します。耐性菌が増加しているため、急性単純性膀胱炎の第一選択ではありません。尿培養・薬剤感受性検査で効果が見込め、ほかの抗菌薬が適さない場合などに検討します。処方例
ホスホマイシン(FOM)国内2015年ガイドラインには、ESBL産生菌が疑われる・検出された場合の選択肢として、1回1g、1日3回、2日間の記載があります。これは旧ガイドラインの記載であり、一律の推奨ではありません。使用は尿培養・薬剤感受性検査などをもとに判断します。- 痛みが強い場合:アセトアミノフェン(カロナール錠)体調や持病を確認したうえで、必要時に併用します。
治療中の過ごし方
- 脱水にならないよう普段どおり水分をとる(無理に大量の水を飲む必要はありません)
- 尿を長時間我慢しない
- 痛みが強い場合は、体調や持病に合わせて鎮痛薬を併用することがある
症状のない細菌尿について
症状がなく、検査で細菌だけが見つかった状態は、通常は抗菌薬で治療しません。ただし、妊娠中や粘膜を傷つける泌尿器科処置の前など、治療が必要な場合があります。
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治療が無効、あるいは治療後再発したとき
治療を始めても症状が改善しない、いったん治ってすぐ再発する、発熱や背中の痛みが出た場合は再診してください。
6か月に2回以上、または1年に3回以上繰り返す場合は『再発性膀胱炎』に当たります。尿培養で診断を確認し、尿路結石、残尿、閉経後の変化など再発に関係する要因を検討します。危険因子がなければ、全員に内視鏡やCTを行うわけではありません。
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クランベリーと再発予防について
詳しくは、「クランベリーは膀胱炎の予防に役立ちますか?」をご覧ください。
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よくあるご質問
市販薬だけで治せますか?
症状を和らげても細菌感染が残ることがあります。また、腎盂腎炎や尿路結石、性感染症などでも似た症状が出ます。排尿痛や頻尿がある場合は尿検査を受けてください。
血尿があっても急性膀胱炎でしょうか?
急性膀胱炎でも血尿はみられますが、尿路結石や腫瘍など別の病気でも起こります。治療後も血尿が続く場合は、追加の検査が必要です。
受診するときに尿をためておく必要がありますか?
できれば来院直前の排尿を避け、尿検査ができる状態でお越しください。ただし、痛みが強いときは無理に我慢する必要はありません。
家族にうつりますか?
一般的な急性膀胱炎は通常、人から人へうつる病気ではありません。ただし、尿道炎や性感染症が疑われる場合は、検査やパートナーへの対応が必要です。
CONSULTATION
尿を我慢しすぎずにご来院ください
可能であれば尿検査ができる状態でお越しください。発熱、背中・わき腹の痛み、妊娠の可能性、最近使用した抗菌薬がある場合は、受付または診察時にお伝えください。