VACCINATION & PREVENTION
新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種について
当院では、65歳以上の方や持病のある方など、感染したときに重症化しやすい患者さんに、インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの同時接種をおすすめしています。
接種の主な目的は、感染した場合の重症化を防ぎ、入院などの負担を減らすことです。病状、接種歴、副反応の経験、ご本人の希望を踏まえて接種を相談します。
監修:西本 紘嗣郎(院長・医学博士)
更新日:2026年10月8日
特に接種をおすすめする方
次のような方は、新型コロナに感染した場合に重症化するリスクが高く、ワクチンによる予防が大切です。
- 65歳以上の方
- 慢性的な心臓の病気がある方:心不全、冠動脈の病気など
- 慢性的な肺の病気がある方:慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎など
- 慢性的な腎臓の病気がある方:慢性腎臓病、透析を受けている方など
- 糖尿病がある方
- 病気や治療によって免疫機能が低下している方:がんの治療中、臓器移植後、免疫を抑える薬を使用している方など
65歳未満でも、こうした病気や治療がある方には接種が推奨されています。「持病があっても接種できるか」「治療中のどの時期に接種するとよいか」と迷われる場合は、診察時にご相談ください。
約30万人を比較した米国の研究
2025年に医学誌 The New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載された研究では、米国の退役軍人の診療記録を用いて、2024–2025年シーズンのワクチン接種と、その後の新型コロナに関連する救急受診・入院・死亡との関係を調べました。
研究で比較した人数295,971人
インフルエンザ+新型コロナ
両ワクチンを同日に接種164,132人
インフルエンザのみ
接種日に新型コロナワクチンを追加しなかった131,839人
接種日から最長180日間の経過を比較しました。両グループがインフルエンザワクチンを受けているため、予防接種を受ける習慣や医療機関を利用する行動の違いを、ある程度小さくできる比較方法です。
対象者は全員、前の2023–2024年シーズンにも新型コロナワクチンを受けていました。そのため、今回の比較は「一度も接種していない人との比較」ではなく、そのシーズンの新型コロナワクチンを追加して受けることによる利益を調べたものです。
インフルエンザのみのグループで、後日新型コロナワクチンを受けた方は、その接種時点で追跡を終了しています。全員が180日間ずっと新型コロナワクチンを受けなかった、という比較ではありません。
救急受診や入院のリスクは、どのくらい違ったのでしょうか
年齢や持病などの違いを統計的に調整した結果、両ワクチンを同日に接種したグループでは、新型コロナに関連する救急受診・入院・死亡のリスクが低いと推定されました。
| 新型コロナに関連する出来事 | 接種日にインフルのみ | インフル+新型コロナを同日接種 |
|---|---|---|
| 救急受診 | 約62件 | 約44件 |
| 入院 | 約19件 | 約12件 |
| 陽性検査後30日以内の死亡※ | 約3.5件 | 約1.3件 |
| 救急受診・入院・死亡のいずれか | 約64件 | 約46件 |
特に入院については、1万人あたり19.06件から11.55件へ、約7.5件少ない結果でした。割合で表すと、入院のリスクが約39%低いと推定されたことになります。
ここで示した数値は、実際に起きた件数をそのまま割ったものではなく、患者さんの背景の違いを調整した推定値です。個々の患者さんの入院確率をそのまま示す数値ではありません。
「救急受診・入院・死亡のいずれか」は、同じ人に複数の出来事が起きても、最初の出来事を数える指標です。3項目の件数を足したものではありません。
※死亡は「新型コロナの陽性検査から30日以内の死亡」と定義され、死因は限定されていません。条件を満たせば、新型コロナ以外の死因も含まれ得ます。陽性検査という条件を満たさない死亡は、この指標には入りません。この研究では副反応や接種に起因する死亡の有無を評価しておらず、安全性や、あらゆる原因を含めた全死亡への影響を判断することはできません。
同時接種の安全性と、研究結果を読むときの注意点
インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは、医師が接種可能と判断した場合、同じ日に接種できます。同時接種には、接種のための来院を一度にまとめられる利点があります。
接種後には、注射した部分の痛み、疲労感、頭痛、発熱などが起こることがあります。同時接種で一時的な副反応が増える研究報告もあるため、体調や過去の副反応を確認して判断します。
また、ごくまれに重いアレルギー反応や心筋炎・心膜炎が報告されています。接種後に胸の痛みや息苦しさなどが出た場合は、速やかに医療機関を受診してください。
厚生労働省:同時接種・副反応のQ&A / 日本感染症学会の提言
今回紹介したNEJMの研究では、副反応を評価していません。同時接種の安全性は、この研究とは別の臨床試験や安全性の調査を参考にする必要があります。
この研究は、接種方法を無作為に割り当てた試験ではなく、診療記録を用いた観察研究です。対象者は平均約71歳で、約92%が男性でした。調整しても残る背景の違いがあり、日本のすべての患者さんに同じ数値が当てはまるとは限りません。効果は流行株や接種後の期間によっても変わります。
両ワクチンを同日に接種する方法と、別々の日に接種する方法を比較した研究ではありません。この研究だけで、同時接種の方が別日接種より効果が高いとは判断できません。
接種費用・相談・予約について
記載の金額はすべて税込みです。
宮崎市に住民登録があり、定期接種の対象となる65歳以上の方の自己負担額は、次のとおりです(2026年度)。
- インフルエンザワクチン
- 1,500円
- 新型コロナワクチン
- 4,500円
- 両ワクチンを同時に接種する場合
- 合計 6,000円
新型コロナの定期接種期間は2026年10月1日から2027年3月31日までです。生活保護受給者は、受給者証の提示により両ワクチンとも無料となります。
60~64歳でも、心臓・腎臓・呼吸器の機能に障害があり身の回りの生活が極度に制限される方、またはHIVによる免疫機能の障害で日常生活がほとんど不可能な方は、定期接種の対象です。医学的に接種をおすすめする方すべてが、定期接種の対象になるわけではありません。
それ以外の方については、公費助成の対象や接種費用を個別にご案内します。宮崎市以外に住民票がある方は、お住まいの自治体の最新案内をご確認ください。
宮崎市:2026年度のインフルエンザ・新型コロナ定期接種 / 当院の各種費用
接種を希望される方は、受付または診察時に「インフルエンザと新型コロナの同時接種を希望している」とお伝えください。持病や治療内容、これまでの接種歴、副反応の経験を確認し、接種日程や予約方法をご案内します。
最近新型コロナに感染した方は、感染した時期もお知らせください。病状や治療に合わせて、接種するかどうか、いつ接種するかを一緒に検討します。
このページは患者さん向けの一般的な説明です。個別の接種の適否は診察で判断します。